国際保健学とは

 

「国や地域での健康の水準や、保健医療サービスの状況を示す指標として何が適切であるかを明らかにし、国や地域間に見られる健康の水準や保健医療サービスの格差がどの程度超えたら、受け入れがたい格差であり、その是正が必要と思われるかを明らかにし、そのような格差を生じた原因を解明し、格差を縮小する手段を研究開発する学問。」

世界の保健医療状況

 

  毎年、下痢症330万人、エイズ320万、肺炎310万人、マラリア200万人、結核100万人、はしかで75万人、妊娠に関連して50万人が死亡しています。この予防可能な、また、治療法もわかっている感染症による死亡者は、世界全体の死亡者の半分以上を占めており、これらの95%が開発途上国で起こっているといわれています。

  さらに、現在では、エボラウイルス熱、鳥インフルエンザ等、今までのあまり関係の無かった自然環境の中から、脅威が生まれてきており、これは、単に一カ国で解決するものではなく、世界を一つにとらえ、グローバルに解決していく必要があります。途上国や紛争地において簡単に失われている命や健康を守るために、私たちにできることを考え、行動に変えていかなければいけません。

 

 

途上国や紛争地で生まれてくる子どもは自分の生まれるところを選ぶことはできません。われわれ多くの日本人にとって想像も出来ない世界においても子どもが生まれ、育っていきます。内戦が続く国で生まれれば、その中で生きていくしかなく、兵士となるしかありません。そして、食べ物の本当に無い旱魃の地域で生まれれば、その中で死んでいくしかない状況があります。この世界における不公平な格差を知ってしまったわれわれには、すべきことがあるのではないでしょうか。それが国際保健の世界です。

非医療系・文系と国際保健

文系/非医療系のあなたが国際保健医療には必要!!

 

 国際保健医療というと、ともすると、医療系以外の専門の人には関係のない分野、なかなか関われない分野と思われがちです。ですが、下の図表でも示しているとおり、文系/非医療系のあなたにも国際保健医療の現場で活躍できる機会はたくさんあります!!

  世界のいのちや健康に少しでも興味をもっているあなた!是非ぜひ国際保健医療の世界に足を踏み込んでみませんか? 

 世界が抱える課題は、貧困、教育、環境、紛争、政治経済、健康と多岐にわたります。それぞれの課題が相互に関わっているため、ひとつの課題だけを抽出して解決に当たるということは困難です。

 なかでも、人間の生活の根幹にかかわる人々の健康は多くの分野と複雑に絡み合っています。したがって、世界の健康に焦点をあてて、とりくむ国際保健医療ですが、その解決のためには、当然ながら、貧困、教育、環境、紛争、政治経済の観点も必要となってきます。 

『国際保健医療のお仕事』(中村安秀編)より一部抜粋
『国際保健医療のお仕事』(中村安秀編)より一部抜粋

この表は、国際保健医療に関わると考えられる職業の一部とその為に必要な専門性を整理したものです。国際保健のプロジェクトには保健医療の専門性だけでなく、プロジェクトマネージメントや法律・経営・広報・ITなど多くの分野の知識や経験が必要です。